2012年8月5日日曜日

甘い部署を作らない

アップルは何故強いんだろう?
「アップルは何故あんなに強いのか?」そんな質問をよく頂きます。

ところがこれに答えるの、案外難しかったりします。まず自分が長く勤めていた会社って、日常すぎて特に分析なんかしないからです。東京生まれの人が東京タワーに登ったことないのと同じですね。

退職して数年した今のほうが客観的にアップルという会社を観れるようになった気がします。そして本を出したり講演したりするうちに自分のなかでキチンと分析が出来て、ようやくこの頃アップルのどの辺りが具体的に「強さの秘密」なのか見えてきた気がします。

最近も『「霊感」vs. 「実行」』というエントリを書きましたが、アップルの高い実行力は間違いなくアップルの「強さの秘密」だと思います。しかしこういうことも社内にいる時にはそれが普通なので、別に強みだと思ったことすらありませんでした。

「責任の所在」や「社内競争」などの観点も、自分の本でも取り上げてみて、ニューズウィークの記事小飼弾さんの書評に載ったりして初めて自分なりにしっくりきた感じです。そう思うと自分の組織の分析を中からするというのは非常に難しいことなのかも知れません。

そんなふうに色々と考えていたらふと、「アップルって弱い部署がなかったな」と気が付きました。

弱い部署は全体の足を引っ張る
弱い部署がひとつでもあるとそこが全体の足を引っ張ります。

たとえばアフターケアの部署が弱い会社があるとしましょう。すると仮に魅力的な製品をそれなりの品質で売っていたとしても、アフターサービスでイヤな思いをした人がアマゾンのレビューやらTwitterなどで思いっきり書きまくります。そしてその一部署が会社全体の足を引っ張るんです。

部品調達が弱ければ安い製品を安定して製造できませんし、品質保証が弱ければ問題の多い製品が出荷されてしまいます。マーケティングが弱ければそもそも製品が話題にすらなりません。そんなふうに1カ所でも弱い部署があると、それが全体の足を引っ張るんです。

ちょっとだけ残念な東芝
例として東芝を挙げてみます。東芝のPC、アメリカでソコソコ売れています。商品自体は気に入る人が多く、amazon.comのラップトップのベストセラーなどをみると、結構上位に食い込んでいるんです。いまや韓国、台湾メーカー、アップル、HPしか見ないアメリカのパソコン市場で健闘している、数少ない日本メーカーのパソコンです。店頭でもしばしば目にします。私も2台持っていますし、気に入っています。

ところがレビューを見ると新品なのに重大な不具合がある、というクレームと、アフターケアの対応が悪いという苦情が目立つのです。

私自身はどちらにも遭遇しなかったので東芝に悪い印象も持っていませんが、PCマガジンのアンケートなどでも似たような傾向が出ているのであながち間違いのでもないのでしょう。

私の勝手な想像ですが、おそらく工場出荷時のチェックが甘いのと、サービス部門が弱いのでしょう。こうした些細なことが全体のイメージを下げてしまいます。

アップルも長らくダメだった
アップルは長らくMobileMeが足を引っ張っていました。カネだけは一丁前に取るくせにホントに酷いサービスでした。ところがこの部署もトップが更迭され、メンバーも大幅に入れ替わって、見事にiCloudを成功させました。以前は他にもダメな部署、幾つもありましたが、淘汰されたり改善したりして2005年頃には本当に死角がほとんどない会社になってきました。

社内政治は功罪が色々とありますが、敢えてひとつだけいい点を挙げるとしたら、いい加減な部署、やっていることが甘い部署がカモにされ、激しくバッシングされるので、みんなキッチリした部署を作ろうと必死になる点でしょうか?

また小飼さんの指摘にある通り、「責任の所在を明確にする」というシステムは、こうした弱い部署、甘い部署を無くすのに非常に効果的なやり方だと思います。

そんなわけで「甘い部署を作らない」こと。

とっても大事です。


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