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Brighture English Academy 代表。趣味はウクレレとかハイキングとかDIYとか旅行などなど。在米20年。シリコンバレーに住みつつ、日本とアメリカとフィリピンで会社経営しています。最近は英語教育がライフワークになりつつある。

2014年1月20日月曜日

人生はクラウドに任せろ!

 Amazonがアンティシパトリー・シッピング(Anticipatory shipping)というわけの分からない特許を申請中です。Anticipatory っていうのは「先読みして」とか「先行して」と言った意味ですから、これはつまり「先読み出荷」という訳です。

 Amazon様は、僕らのサイト滞在時間とか欲しいものリストや、購買傾向が似通った客の情報などを解析して「おすすめの商品」を表示してくれますが、あれをもう一歩進めて、実際に注文が確定する前に最寄りの配送所まで商品を出荷しておこうというわけです。すると注文が確定したらその日のうちに品物が玄関先に届くようになります。

 確かに、アマゾンでお届け予定日を見て、「こんなに待たされるなら自分で買いにいこう!」ってなってしまうこと多いですから、もしもお届け予定日が同日だったら、アマゾンで買うもの、ますます増えるでしょうねえ……。そして配送所から自宅までの最後の1マイルはコチラの出番です。



 もう限りなくSFの世界ですが、やがてこんなのが空を飛び交うようになる日もそんなに遠くないのかもしれません。

お母さんロボも目前?
 前回のネストのサーモスタットもそうだし、この先読み出荷もそうですが、クラウドが僕らの先回りをして世話を焼いてくれる時代は、もう目と鼻の先です。おすすめ商品どころか、これからもっともっとクラウドが世話を焼いてくれるようになるでしょう。僕らは煩わしいことは機械に任せて、人間だけができる、人間らしいことをすればいいんです。

 じゃあ人間らしく本を読もうかな? ちょうどアマゾンが面白そうな本をお勧めしてくれたし。音楽を聴こうかな?  iTunes が新しいアルバムをお勧めしてくれてるし。 映画を観ようかな? Netflixのおすすめに新しい映画が入ってるし……。

 そのうちね、歯を磨けとか糞しろとか風呂は入れとか言われるようになりますよ。って思ってたら、もうそういう商品が登場してました。その名も「Mother」。






「おすすめ」の人生もいいんじゃね?
 さて、人間はいったい何をするんだろう? ただただ「おすすめ」に従って生きるのもそれはそれでお気楽でいいのかも知れません。日本人の多くはどうせ空気読んで周りと同じように振る舞ってるんだから、「空気」が「アマゾン」や「グーグル」になるだけの話と割り切ってしまえばそれはそれかもです。

 多分「おすすめ」のほうが、昭和の頃にみんなが信じていた「いつかはクラウン」とか、「郊外に一軒家」とか、「良妻賢母」なんかよりよっぽど的確でしょう。そのうち出会う異性も「先読み紹介」でマッチメイクされるようになったりして?

あれ、そういえば人間だけができる人間らしいことってなんでしたっけ?

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ビッグデータってなに?ってかたはビッグデータの覇者たち (講談社現代新書) をどうぞ。良書です。



2014年1月15日水曜日

グーグルのネスト・ラボ買収が意味すること

 グーグルがネスト・ラボを買収を発表しました。
 買収額はなんと32億ドル。およそ3300億円です。ネストは従業員が300人足らずの会社ですから、従業員一人当たり10億円の価値があると判断された訳です。

 ネスト・ラボは4年前にiPodの生みの親、トニー・フェダルによって生み出された会社です。この会社、現在のところ火災報知器とサーモスタット(温度調節器)を発売しています。この2つの製品のユニークなところ、それはどちらとも自動学習機能を備えている点なのです。

  ネスト・ラボのサーモスタットをしばらく使うと、室温の設定パターンを学習し、勝手に温度調節をしてくれるようになります。また内蔵センサーによって人がいるかどうかを判断し、留守中には冷暖房を自動的にオフにしてくれます。iOS/アンドロイドのアプリケーションからも操作可能な上、エネルギー消費量までグラフでモニター可能なのです。こちらが紹介ビデオ。面白いです。(長いプレイリストなので抵当に途中でやめてください)


 火災報知器に至ってはWIFIを内蔵し、各部屋の火災報知器同士で通信するのです。そして単にピーピーと非常音を鳴らすのではなく、どの部屋で煙が感知されたのかも教えてくれる上、緊急時とそうでない時は違った方法お知らせしてくれます。



家を「賢く」する
 トニーは自身のブログでネスト・ラボ設立の理由を「家に意識を与える」と説明しています。「家を『賢く』し、こまごまとしたことは全部やってもらう。人間は、人間にしかできないことに集中できるように」、と。

 今後どのような製品が出てくるのか分かりませんが、例えばセキュリティ・システム、加湿器、除湿器、照明などなど、さまざまなものが自動学習機能でどこまでも賢くなりそうです。そのうちに家に帰ると勝手に照明が付き、温度も湿度も自動的に調節してくれるようになるでしょう。

そういえばクルマも賢くなる
 そうそう、グーグルと言えば自動運転車です。しかし、あんなものスゴいクルマを早々とデモしてしまったばっかりに、どの自動車メーカーもビビってしまってグーグルと組もうとしません。今のところアウディとフォードはグーグルと組む予定のようです。他社はアップルと組むようですが、自動運転はおそらく目と鼻の先ですから、グーグルと組むほうが実は賢いかも知れません。

 いずれにせよ、早晩クルマは自動運転となり、僕らは車の中でもビデオを見たりゲームをしたりして遊べるようになるでしょう。こうして検索もグーグル、家もグーグル、車内もグーグルと、グーグルに見守られて暮らすようになるのだろうと思います。

人間はなにをするのか?
 こうしてすべての煩わしいことから解放された人間は、いったい何をすればいいのでしょうか?

 トニーの言う通り、人間は人間にしかできないことをするのです。

 匿名で人を罵倒したり、エロビデオを観まくったり、自己満足のブログを書いたりと、やることは沢山あります。たまには勉強したり、スポーツをしたり、クリエイティブなことをしたり、世のため人のためになることをしてもいいかも知れません。時間の使い方は僕ら自身が決めることです。

 いずれにせよ、何をしているのかはすべてグーグル様に筒抜けになります。グーグル様はそうやって得た情報を元に、僕らの生活をより快適にしてくれるでしょう。そうやって快適になった環境で、

平々凡々な僕らはいったい何をして生きればいいのか? 

 それはテクノロジーに支えられて生きる、僕らの新しい悩みかも知れません。

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2014年1月5日日曜日

10年後の仕事のカタチ

 僕がまだ高校3年生だった1984年。
 当時はまだコンピュータなんて企業や大学の研究所くらいにしか存在せず、高校にはマニアの先生が自腹で買ったマイコンが一台あるだけ、なんて感じだったのです。世間では「やがてコンピュータの時代がくる!」なんて言われていたようですが、「???」って感じでした。コンピュータってロケットの打ち上げか何かに使うもの、というイメージでしたから無理もありません。

 まだアルビン・トフラーの「第3の波」も堺屋太一の「知価革命」も発売されておらず、「コンピュータの時代」が一体どんな時代になるのかなんて、だ〜れにも分からなかったのです。

 僕自身、勉強したいことも、はたまたどんな大人になりたいのかもサッパリ分かりませんでした。戦中に青春を過ごした父は、「文系はすぐに兵隊に取られるからダメだ。なんでもいいから理系に行け」と二言目には繰り返しましたが、アドバイスがアバウト過ぎてどうしていいものやらサッパリ分かりませんでした。物理も化学も大の苦手で、理系に進むのはなんだかしんどそうでヤなこった、って感じだったのです。

 それから10年後の1994年、僕はアップルコンピュータで働き始めるわけですが、すべては偶然の産物です。先見の明があったわけでも何でもありません。ただそれでも、父親を含む何人かの大人に言われた2つのアドバイスは実に有効でした。

「英語を憶えろ」
「理系の学問を学べ」

 この二つのアドバイスを耳にすることがなかったら、僕の人生は随分と違ったものになっていたのではないかと思います。それじゃ一石二鳥とアメリカの大学でコンピュータを勉強することがなかったら、多分アップルで働くことなんてなかったでしょう。人生を変えてくれた、本当に貴重なアドバイスでした。

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 多分この二つのアドバイスはいまでもかなり有効です。でも多分、他にもいろんなヒントやアドバイスがあるはずです。昨年5月に大石哲之さんと共同講演をした際に、現在のシリコンバレーとアジア新興国からの目線で、僕達の10年後の仕事のゆくえについてお話させて頂きました。その時の講演内容をベースに、今回大石さんと一緒に書き上げたのがこの1冊です。

 今高校生や大学生をやっている若者や、就職数年目で今後の進路に迷っている若者たちに読んでもらえたらな、って思っています。

 はたまた自分の子供や教え子への進路のアドバイスに困っている人にとっても、役に立つかも知れません。

 考える糧になってくれれば嬉しいな〜〜〜! 是非お楽しみください!



2014年1月2日木曜日

ソニーのリストラはなんかオカシイ

明けましておめでとうございます。

今日はまだアメリカは元旦です。あと20分ぐらいで1月2日ですね。

さて、元旦早々余りにショッキングな記事を読んだので紹介しましょう。

ソニー、追加リストラ 国内5工場、電機事業不振で

以下、一部抜粋。
 早期退職の募集期間は1月6日から3月末まで。40歳以上、勤続10年以上の社員が対象で、中堅社員や管理職にあたる。「電機事業には今の人員規模を支えられるだけの需要がないため、適切な事業規模にする必要がある」(ソニー幹部)としている。
 人を減らす目標や枠は特に設けていないという。募集に応じた社員には退職加算金を支払い、再就職支援会社を紹介する。

 これマジですか?

 ごめんなさい、ソニーさん。でも開いた口が塞がりません。

 これ、いくつかの点で著しく間違っています。

1)なぜ未だに国内工場?
 まず、なんで2014年にもなって、国内に5つも工場があるんでしょう? 合理化ってダイエットみたいなものですから、病気(業績悪化)になってからやるもんじゃないでしょう。どうして元気なうちに工場を移転しなかったのか? あり得ない。

2)なぜ規模が設定されていないの?
 期限が長過ぎる。3ヶ月間、社員の士気が下がり続けます。その上目標が定めてないって………。俺がソニーの投資家ならこう考えるでしょう。

「ソニーはどのくらいのリストラが必要なのかさえ分かっていない」

と。そしてこの3ヶ月間、業績が下がり続けるでしょう。リストラなんて外科手術と同じです。短ければ短いほどいい。まったく意味不明過ぎます。

 リストラの目標さえ立てられないようでは、リストラしたほうがいいのは工員じゃなくて、経営陣なのでは?

3)希望退職?
 希望退職に飛びつくのは、仕事がデキるヤツと相場が決まっています。傾いた船から飛び降りれるヤツは、泳げるヤツなんです。泳げないヤツが残る上に、ぐんぐんと指揮下がり続けるんです。

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 なんだが元旦からイヤなニュース見ちゃったな。

 今日アップした別の記事にも書いたけど、すべてをもっとシンプルにしましょうよ。まずはそこからだと思う。

 でもどうかな? まだズルズル堕ちる気がするな。

踏ん張れソニー!!

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宣伝:
そういえばアップルもアメリオ時代に2回のリストラやって、ものすごく士気が下がって優秀な社員逃げまくりでした。先の見えないリストラ、ホントにダメです。この頃の様子も含め、色々書いた本です。よろしかったらどうぞ。

頑張れパナソニック!

 12年ぶりに固定電話を新調した。これまで使っていたヤツはFAX 付きのヤツでそれなりに重宝したんだけど、もうFAX を使うこともなくなり、場所ふさぎなので今回のヤツは子機2台のコードレス電話に変更。

 固定電話そのものを失くすことも検討したけど、仕事の電話番号もこれだったりするので、取りあえずはそのままとした。そして、買ったのがパナソニック製のこれ。


こんな感じです。


 軽いし、ボタン類も少なく、Amazonのレビューもよし!ですぐに購入。Link-to-cell という機能があって、自分のケータイと電話機をBluetooth でリンクできる。すると携帯電話にかかってきた電話を、固定電話で受けることもできるし、ケータイの住所録をそのまま電話機に移すこともできる。

「なかなかやるじゃないですか、パナソニックさん!!」という感じだったのです。

いざセットアップ
 箱から出してセットアップ開始。ん〜〜。いいじゃないですか!


いきなり幻滅したのがこのマニュアル。




 結果的には、電話のリンクも住所録の転送も比較的簡単だったんです。でもマニュアル抜きでは絶対に不可能だった。そしてこのマニュアル、俺みたいな老眼にはあまりにも字が小さ過ぎ。

もっと工夫の余地があるだろ!
 そもそも、なんでマニュアルが必要な製品をいまだに作るかな?

 一度Bluetooth で繋いだら、あとの設定は全部スマホかパソコンのアプリからやれるようにすればいいのに。

 固定電話の留守録もケータイからアクセスできるようにすればいいのに。

 それから、日本語表示できるようにしようよ。スマホなんて20カ国語ぐらい普通に対応している。なぜ固定電話でもやらないかな? そんなにコストがかかるとも思えず。そして、ワールドワイドで同じモデルを売ればいい。各国向けのモデルなんて作る必要がないよ。

このLink-to-cell だけで21機種もある。

そんなに要らない。

せいぜい5でいいって。

すべてのことを、もっともっとシンプルに、簡単に。

それがパナソニックに限らず、日本のメーカーがやるべきことだと思う。

頑張れパナソニック!