2012年4月14日土曜日

ソニーはアップルのように復活できるか?

私は今回出版した本を書くにあたって、アップルの比較対象になる企業が必要になり、パナソニックとソニーについては、かなり色々と調べてみました。そしてパナソニックと比較するのは止めにして、今回の本の中ではソニーとアップルを対比させています。なぜパナソニックはヤメにしたかと言うと、企業形態が余りに支離滅裂で文章化できないほど複雑だったからです。こんなことを言っては何なんですが、パナソニックは早晩大幅な人員削減か倒産、あるいは一部の事業を外国の企業に買収されるなどすると思います。

ではソニーはどうなのでしょうか?

拙書ではソニーとの比較に終始させて頂きましたが、正直言ってソニーですら調べれば調べるほど暗澹としてしまいました。

そんな折り、ソニーが2012年3月期に5200億円もの赤字を計上しました。その発表と相次いで、12年度中に全世界で全従業員の6%にあたる約1万人の人員削減が発表しました。

新しいCEOの平井一夫氏も就任早々大変です。

新たに発表された経営戦略によると、ソニーは構造改革費用として約750億円を計上。デジタルカメラ、ゲーム、モバイル端末の3事業を「コア事業」として位置づけて、経営資源を集中させるんだそうです。

さてこんな処方箋で復活するんでしょうか?

私は到底無理だと思って言います。

なぜ無理か?

まず簡単な算数から考えてみましょう。

ソニーの純利益は四半期で2200億円程度とのことです。ということは単純に考えて利益を2.3倍くらいにしないと今回の赤字+リストラ費用さえ回収できません。仮に1年かけて損失を回収するにしても、1期あたりおよそ1300億円の利益増とならなけばなりません。利益を60%増としてそれを1年間継続する必要があります。2年かけるとしても利益を30%増大させなければなりません。3年でも20%ですね。

ところが現在のソニー製品を見てみると、利益を20%〜60%も押し上げてくれる可能性を感じさせてくれる製品がひとつも存在しません。

ではコストカットは充分なのでしょうか?1万人の削減とあります。仮に多く見積もって一人たりの平均給与が800万程度としましょう。それに諸経費がのって人件費およそ1千万円とします。これを1万人切ると、やっと1000億円です。つまり今期の赤字の1/5にすらならないのです。実際の平均給与はもっと低いでしょうから、多分リストラで減る経費はせいぜい500〜700億円程度ではないでしょうか?そのリストラ費用に750億です。焼け石に水、ということわざが頭をよぎります。

この2点だけ考えても復活は不可能と判断せざるを得ないと思います。ですが問題はもっと根本的なところにあります。

ないないずくしのソニー
- 欲しい製品がない
現在のソニーの根本的にダメなところは「欲しい製品」がひとつもないところです。ワクワクする製品もありません。「これを買ったら生活が変わりそう」とか友達に「買っちゃった〜」と言いたい製品がひとつもないんです。先日の会見でも驚いたことに具体的な製品やサービスの話がただのひとつもありません。これで復活なんて200%あり得ませんでした。

- 世界戦略がない
例えばアップル、グーグル、アマゾンのウエブサイトを見てみましょう。どの国のも基本的に同じように洗練されたデザインです。言語が違うだけです。製品も同様です。ワールドワイドで同じ製品。国によって変えるのはせいぜいSIMカードとキーボードくらいです。ソニーのそれは製品名が違っていたり、アメリカでは売っているのに日本では売っていない製品があったり、またその逆があったり…。それらが購買意欲をそそる製品ならまだしもですが、どちらもダメダメだったりします。ウェブサイトに至っては別の会社かと思うほどデザインが異なります。なぜこんなことになってしまうのか、意味が分かりません。さらにはPSPを後進国で売るとか…貧乏人は時代遅れの製品を使ってろ、って感じでしょうか?そんな風に色々と作るからダメなのに。

- 部門間で話をしているとは思えない
ソニーは「右手が左手」と話をしていない、と感じさせるような商品が大量にあります。事業部間や部門間のコミュニケーションが相当に悪いようです。メモリースティックなんてその象徴のような存在です。あんなもの止めればいいのにいまだに作っていて、あるソニー製品はそれを採用し、ある製品はしていません。これひとつを取ってもどのくらいコミュニケーションが悪いか伺い知れるというものです。


ではどうすればよいのか?

やるべきことは3つあると思います。

- ヒット商品を生む
1にも2にも大ヒット商品の開発が急務です。アップルで言えば復活ののろしになったiMacG3のような製品が必要です。平井氏はそれをやれる人なのでしょうか?先日の会見を見た限りでは不安です。

- 不採算事業の徹底的な清算
そもそも利益を生んでいない部署はもうすべておさらばするべきでしょう。アップルは第1期黄金期の頃1万8千人くらいいましたが、どん底の時には9000人を切っていました。つまり半分です。しかしこのリストラ+iMacG3でアップルは息を吹き返しました。ソニーに半分切れとは言いませんが、1万人は本気が見える数字じゃないですね。16万人のうち、わずか6パーセントです。ヒット商品+大胆な経営スリム化がないと復活はあり得ないでしょう。

- 社内体制の一新
上にも書いたようにソニーは「右手が左手」と話をしていない、と感じさせるような商品が大量にあります。この事業部間の縦割りの弊害については先日の会見の質疑応答でも質問が出たのですが、結局満足に返事もせずにウヤムヤです。


で、何が言いたいのかと言うと


私の本を買って参考にしてください」って言いたいんですw。

つまり単なる宣伝です。

さて散々ソニーをこき下ろしましたが、別にソニーだけの問題じゃありません。ヒット商品や戦略の欠落、あるいは複雑過ぎる社内体制などは、日本のほぼすべての大企業に当てはまると言ってもいいほど根深い問題です。ですので、この本の宣伝、まるっきり冗談ではありません。私がアップルから学んだこと、それなりに参考になると思います。

私は元アップルですが、それ以前に日本人ですから、ぜひ日本企業に復活してもらいたいです。中学のときに買った初めてのウォークマンもソニーでした。

頑張れソニー!



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2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

面白い考察です。ぜひパナソニック版もやってほしいです、ソニーよりもまさに日本の大企業の縮図でしょうから。更には日本の電機産業のデモありますし。

匿名 さんのコメント...

面白い記事ですね。panasonicも書いて欲しいです!^^