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それはまだ私がが横浜で合気道を教え、今はうっすらとひげが生えはじめた長男がまだおしめをかっていた頃のお話。
私はまだ結婚したばかりで子供が一人しかおらず、生まれて半年経つか経たないかの長男はおしめをかっていて、私は幸せのあまりで常に体がジンジンと痺れていました。(ホントの話)
そんなある朝、会社に行く直前、私はいつものように長男を抱っこして「ボクちゃん可愛いでチュネ~。バブバブバブ~」などと言っていた。この頃は夕方合気道を教えていたので、朝早く会社に行って5時には仕事を切り上げ、それから道場に向かっていたのだ。
だからまだ時計は7時前。
朝の清々しい空気の中、長男に頬ずりなんぞしていると、突然「ブリブリブリ~」と音がして、長男から香ばしい香りが漂ってきた。
「あらボクちゃん、マグマ攻撃でちゅか~。おしりキレイキレイしましょうね~」
などと言って、オレは長男のおしめを取り替えた。
まだ造成中だったニュータウンの中を、妻と一緒に乳母車を押して出勤した。妻はいつだって15分ほど歩いた所にある地下鉄の駅まで一緒に歩いてくれた。長男も愛犬のチロもいつも一緒だった。
駅で妻とお別れのキスをし(ウソ)、電車に乗って、オレは通勤途上の人となった。
地下鉄はさほど混んでいなかったが、どこからともなくウンコの匂いが漂ってきた。
「オイオイ誰だよ...車内でお漏らしか? オナラか?オナラにしちゃ匂いが消えないな」
などと思いながら、あたりをキョロキョロしたりクンクンしたりしたが、匂いの発生源は判らなかった。
10分ほど後に私は別の電車に乗り換えた。こっちの電車は市営地下鉄なんぞとは違って、押し合いへし合いの混みようだ。こんなのを毎日やっているんだから、まったく日本のサラリーマンは偉いよな。
モミクチャにされながら電車の中で自分の立ち位置を確保すると、どこからともなく、またさっきのウンコの匂いが漂ってきた。
「おいおい、マジかよ。だれだよ?」
と思ったが何しろ身動きの取れない電車の中。臭いを堪えながら立っていた。
途中でどうにも我慢できなくなってきたので、一体誰なんだろうとモゾモゾとあたりを見回しはじめた。するとなんと:
自分の半袖のシャツの袖にベットリとウンコが付いるのを発見した。
「ギャ~!!!」
と思ったが降りることさえ出来ないほど混んだ電車の中。どうすることもできない。
他人に気が付かれないよう、つり革に掴まっていた手を下ろし、袖が誰にも見えないように隠し、誰とも目が合わないように下を向いていた。
やがて駅に到着。オレは一目散で会社に走って行った。まだ8時を廻ったばかりなので会社には誰もいない。
会社に着くやいなや、オレはトイレに走って行くと、シャツを脱ぎ捨て、上半身裸のままシャツの袖を洗いはじめた。
が、既に1時間以上付着したウンコはなかなか落ちてくれない。
一生懸命ゴシゴシと洗っていると突然「バン!」とものすごい勢いでトイレのドアが空き、隣の部署のK君がトイレに入ってきた。
「ゲッ!」
よりによって上半身裸でウンコを洗い落している所を同僚に見られるとは!と思ったのだが
K君はオレなんかには脇目もふらず個室に飛び込んで行った。
そして:
「オ、オェ~~~」
「ゲロゲロゲロ~~」
「オェ~~~」
と、凄まじい音をたてながらK君はゲロを吐きだした。
私はK君が出てくる前に消えたかった。袖にはばっちりと茶色いシミが付いていたが、臭いは落ちてくれたので、私はそのシャツを着た。濡れた袖が冷たい。
とその時K君が個室から出てきた。
さっぱりとした、清々しい顔をしている。
K君はまるで何事もなかったかのようにオレに会釈をし、手を洗うとオフィスに戻って行った。
清々しいK君とは裏腹に私は袖の茶色いシミが気になり、効率の上がらない1日を過ごした。
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それから数年が過ぎ、K君は結婚。
さらに10年近い月日が過ぎ、そして去年からK君とその奥さんもアメリカのごく近所にに転勤してきた。
奥さんはご主人からこの話を聞いたことがあるのかどうか、どうにも気になるのであった。
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