現実には、ネズミ色のスーツを着て通うような会社に就職するのってけっこう大変。少なくとも当時の自分にはまったく不可能だった。
それでいて、どんな職業に就いてどんな生活をしたいのか、イメージさえも持っていなかった。自分こそただ制服を着て学校と家の間を往復しているだけの、ごく平凡なつまらない高校生だった。
いつも本が教えてくれた
唯一読書が好きで、学校で学んだことはほとんど何も憶えていないのだけれど、暇さえあれば叱られるほど本ばかり読み耽っていた。そういえば人生の岐路に立った時、いつも読書に没頭して答えを見つけようとしたっけ。そんなことを思い出せてくれた一冊。それが先日対談させて頂いた小飼弾さんからご献本頂いた「本を読んだら、自分を読め 年間1,000,000ページを血肉にする読自の技術」だった。
俺は小飼さんを始めとする読書家の人に比べたら別に読書家というほどではないけれども、それでも本の置き場所にかなり困るくらいには読んできた。そして本以外にも、周囲の先輩や大人たちやも随分色々な影響を受けた。
勝手に個性がないと決めて付けていたネズミ色のスーツのオジさんたちだって、それぞれ豊かな人生を送っていて、自分が世間知らずなだけだったって、色々な人と交わることで、やがて分かってきた。
馬には乗ってみよ、人には添ってみよ
本という媒体を通じてその筆者や登場人物から影響を受けるにせよ、リアルで他人から影響を受けるにせよ、人間という生き物は、他人から有形無形の影響を受けて成り立っている。だらしのない奴らとツルめば自分の中の基準が下がってだらしなくなるし、辛気くさいヤツとつるむと気が滅入るし、面白いヤツとツルめば楽しい思いをできるし、一生懸命生きてるヤツとツルめば自分が引っ張られる。だからそのときどきの自分の成長に応じて、付き合う相手、住む場所を変えて、自分をちょっとずつ、より好ましい方向に持っていく。こういう感覚って多分とっても大切。でもどんなヤツが自分の視野を広げてくれたり、新しい楽しみを教えてくれたり、自分を引っ張ってくれるのかなんて、色々なヤツと付き合ってみないと分からない。同様に、色々な作家の、色々なジャンルの本を読んでみないと、自分の中の宇宙が広がっていかない。
「馬には乗ってみよ、人には添ってみよ」
って言う言葉があるけど、
「馬には乗ってみよ、人には添ってみよ、そして本は読んでみよ」
と思わせてくれる、なかなかの良書でした。
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