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Brighture English Academy 代表。趣味はウクレレとかハイキングとかDIYとか旅行などなど。在米20年。シリコンバレーに住みつつ、日本とアメリカとフィリピンで会社経営しています。最近は英語教育がライフワークになりつつある。

2012年4月1日日曜日

どこでも仕事ができる時代

昨日のブログ記事にも書いた通り、4月10日からアスキー新書より本を出版することになりました。

さて今回の執筆にあたってはアスキーメディアワークスの吉田孝之さんという方と、フリーランス・ライターの野本響子さんという方と一緒にお仕事をさせて頂きました。

実は私、この吉田さんとも野本さんとも面識がありません。最近になってフェイスブック等を通じてどんな容姿の方か知ったのですが、吉田さんに至っては声さえも聞いたことがないのです。それでも実にスムーズに本を出版にこぎ着けることができました。

このように全く面識のない方と遠隔地にて仕事を共にし、出版に漕ぎ着けられた最大の要因は、吉田さんと野本さん両名が一流のプロフェッショナルであったからです。

ですがその一方で、ネットの威力には今まで感じたことのない衝撃を受けました。

リモートで仕事するのは初めてではない
これまでも遠隔地に居住する面識のない方と様々な仕事をしてきました。

アップルに勤めていた時も海外とのやり取りは多かったですし、メールや電話、あるいはテレカンなどでさまざまな案件を数多く片付けてきました。しかしこれらはすべてアップルの海外支社で働いているか関連企業の方とのお仕事だったので、お互い相手から期待できることもはっきりしていましたし、向かっているゴールも同じでした。また社内のインフラはインターネット普及以前から整っていましたから、ある意味「できて当然」でした。

だからでしょうか?なんとなくこういう仕事のしかたは「大きな企業の仕事のやり方」、とったような印象を抱いていました。

「どこでも仕事できる時代」が来た
執筆が終ってなにがそんなに衝撃的だったのか改めて考えてみたのですが、結局ネットの高度な普及を改めて実感した、ということだったのだと思います。大きな資本を持たない「ごく普通の人」でも本当に「どこでも仕事できる時代」がいつの間にか出来上がっていました。

クラウドサービスは本当に使える
今回の原稿の執筆は、ほとんどすべてGoogle Docsで行いました。これがとにかく本当に便利でした。私が1章書き終わるごとに野本さんや吉田さんに赤入れをしてもらっていったのですが、両名が容易にコメントが付けられるので「てにおは」レベルの間違いから、「ここは読みにくい」、「章立てを変えた方が良い」と言ったレベルのかなり大きな変更内容のやりとりまで、ほとんどすべてGoogle Docs上で成立しました。また付けたそれぞれのコメントを別々に管理し、コメントにコメントを返すこともできるのです。もしもファイルをやり取りして同じ作業をしていたら、このような同時進行の作業は難しかったでしょうし、ファイル自体も複数できてしまって、バージョン管理も煩雑になっていたでしょう。しかしこうして原稿をクラウドに置いておくと、両者が同時進行で執筆と編集を行ったりできるわけです。

Google Docsの問題点と言えば縦書きがサポートされていない点と、ブラウザがメモリを食い過ぎる点でしょうか?途中でパソコンのメモリを4GBに増設し、ブラウザをFirefoxからChromeに変えたところ安定しました。Firefoxは本当にダメです。Safariも明らかにメモリーリークのような現象が起きました。

このようなマイナス点を差し引いても、もうワードの書類をやり取りするようなやり方には戻れないな、と思いました。クラウドって本当にスゴいです。

サーバの活用
後半になり挿絵やグラフ、表紙の写真などのやり取りは吉田さんがサーバを立ててくださりそこで経由して行いました。これも本当にスムーズでした。また体裁が整えられた原稿はPDFとしてサーバで共有し、初校、再校はこちらを使用。本当に便利でした。

電子で管理する参考資料
今回の本は私のアップルでの体験をベースにしていますが、客観性を維持するためにも思い込みや記憶を頼りに書くのではなく、かなり沢山の本や資料を読み込んで執筆しました。

読んだ資料がWebページの場合には当然ブックマークしておいて、何度となく確認しました。ブックマークし忘れたものは再検索が意外に大変で、かなり時間をロスしました。

とはいえもしもこれがWebページではなく紙の資料だったら、リサーチだけでも膨大な時間を使い、紙の山に埋もれての作業だったでしょう。英語であれば、古い新聞なども大半はネットで見つけることができました。

資料としての電子書籍
参考にした英語の書籍はすべてkindleで購入しました。こうしておくと、引用をしなければならない時などにKindleアプリで瞬時に検索できるのです。これは本当に便利でした。紙の本には戻れない……と改めて実感しました。日本語の書籍も、一日もはやく電子化すべきだと心から思いました。

メール
細かいツメやディスカッションはすべてメールで行いました。時差がありますが、私が寝る直前に意見を投げておくと朝には回答が返ってきており、非常にスムーズでした。

ソーシャルメディア
執筆作業中はソーシャルメディアはまったくと言っていいほど活用しなかったのですが、本がある程度終ってからは徐々にソーシャルメディアで本の紹介を始めました。レスポンスは非常に良く、まだ発売が公になって数日なのにtwitter やブログなどでもかなり紹介されています。

電話
電話はもっとも使用頻度が少ないツールでした。野本さんと3回ぐらい電話しただけです。ほとんど私の愚痴でした。(すいません)

以上、私のノマド(?)体験記です。プログラムを書いたり、デザインをしたりとコンピュータさえあればできる仕事はもう本当に場所を選びません。これは本当に骨身に沁みるほど実感しました。

それは良いことでもあり、悪いことでもあります。多くの仕事は海外に流出するでしょう。その一方で住む場所を選ばなくなってきているのは確かなことです。

今回の体験を通じて改めて、「今の時代の変革は産業革命どころではないのではないか?」との思いを強くしました。

そしてまだ変化は始まったばかりなのです。


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