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Brighture English Academy 代表。趣味はウクレレとかハイキングとかDIYとか旅行などなど。在米20年。シリコンバレーに住みつつ、日本とアメリカとフィリピンで会社経営しています。最近は英語教育がライフワークになりつつある。

2011年9月12日月曜日

10周年を迎えた9/11

早いもので、あの9/11の事件からはや10年間が過ぎ去りました。今日は一日中ラジオで色々な局でやっている9/11特別番組を聴いていました。

そしてアメリカはなんだか変わってしまったな、との感想を持つに至りました。

ブッシュ大統領の一期目のアメリカというのは9/11の影響が色濃く、「テロとの戦争」が絶対の大義を得ており、それさえ唱えていれば万事OK っていう感じでした。私の住む街から2時間ほど南に行ったところに大きな水族館があるのですが、「もしここがテロの標的になったらどうしよう?」などと本気で心配する人が沢山おり、空港での身体検査や手荷物検査を強化、また政府が電話の盗聴やメールを読むことも止むなし、というような風潮でした。またテロ容疑者は拷問も止むなしとして、少なくない人達が裁判も経ずに拘束され拷問に遭いましたが、これもまた「やむを得ない」という認識で多く国民に受け入れられてしまいました。

そしてアメリカの大部分の人が根拠薄弱のイラク参戦に賛成し、まだアフガンも片付いていないのになし崩し的に戦争をおっぱじめてしまいました。

問題はここからです。

アフガニスタンもイラクも、戦争とはお金のかかるものです。でも増税して人気を落とすのはイヤだったんでしょう。ブッシュ政権は増税どころか減税を行い、国債を大量発行して戦費に充ててしまいました。そして何故か異を唱える国民もほとんどいなかったんです。まあ3億人の国民がみな発狂していたようなものです。

それから10年。

アメリカは未だにイラクから足が洗えず、アフガンはつい先日やっとウサマ・ビン・ラディンを射殺したばかりです。おそらく来年の夏頃までには撤退が始まるとは思いますが、結局目立った戦果もなくの撤退となるでしょう。

アメリカ政府はこの間3兆3千億ドル以上ものお金を使ったとされています。(引用元はこちら

・物理的損害と料金(損壊物や交通、通信の費用)   550億ドル(=約 4.3兆円)
・経済活動への影響(業務停止や航空機利用低下)  1230億ドル(同  9.6兆円)
・国家防衛、情報関連費用             5890億ドル(同 45.8兆円)
・軍事関連費用                 1兆6490ドル(同 129兆円)
・将来的な軍事費用と退役軍人への社会保障     8670億ドル(同 67.3兆円)

3兆3千億ドルっていうとおよそ255兆700億円にもなります。

これをすべて国債で賄っているんです。

そして2008年のリーマンショック。これも見方によってはブッシュ減税の影響とも言えます。アメリカはブッシュ減税以降、バブルが起きていました。税金も安いし雇用も安定している上、家の値段がドンドン上がるので誰も彼もが家を買い、中には実際に返済能力のない人達までもがサブプライム・ローンに手を出し、そしてバブルがはじけました。

そして2011年。アメリカはすっかり内向きの国になりました。


イラクには結局のところ大量破壊兵器なんてありませんでしたし、アルカイダとのリンクなんてありませんでした。やっと頭が冷えて来た国民の多くがイラク戦争を間違った戦争だったと認識するようになりました。

アメリカは債務の上限引き上げで擦った揉んだの挙げ句、S&P にレーティングを下げられてしまいました。アメリカ史上初めてのことです。

チェニジア、エジプト、シリア、リビアと独裁者打倒が続く中、その支援の矢面に立とうとしないアメリカ。

どの政治家も口を開けば雇用問題か財政問題しか口にせず、もう「テロとの戦い」などと口にする政治家は共和党にさえいなくなってしまいました。

アリゾナなどのメキシコとの国境に接している州では正気を疑うような違法移民取り締まりの法律が制定されました。とにかくアメリカを「今のままのアメリカ」で止めておきたい、と感じる極めて保守的な人が増えているようです。

アメリカが急速に色褪せている気がするのは私だけでしょうか?

9/11は実はテロ側の勝ちなのかも知れません。ハイジャックした飛行機でビルに突っ込むのにかかったお金はどんな多く見積もっても数千万円でしょう。それに逆上したアメリカはアメリカの本来の価値観である民主主義や個人の尊厳などの原則をねじ曲げ、拷問を行い、裁判なく容疑者を処罰し、人々のメールや電話を盗聴しています。あげくに無駄な戦争を始め、3兆億ドル以上のお金を使い、そして現在不況に喘いでいます。

9/11はアメリカの衰退の始まりとして記憶されるような気がします。今日聞いていたラジオのコメンテータが「アメリカは依然として強い国で居続けるでしょうが、ゆっくりと「特別な国」から「普通の国」になっていくのでしょう。」と喋っていたのが非常に印象に残りました。



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2 件のコメント:

Pebble Beach Liaison さんのコメント...

その水族館でボランティアを二年やりました。はい、あの辺はあっち側を睨んで見張ることの出来る格好の場所なので、次のテロはここを狙うだろうとアラート状態が長かったように思います。何せココにはハリウッドからホワイトハウスまであるようなもので、有名著名な人人が森の中に隠れ住んでいるようなものです。電話のタッピングは当初酷いもので国際電話の多い私は、カチカチとなり始めると「ホラホラ始まった」と相手に伝えるんですが、そう言うと暫し静かになるという出来の悪いものでした。マークされる程の要人ではないのでつまらないですが、国が急速に変化しつつある事に不安な気持ちがあった事は否めません。水族館ではJAZZやGalaが愉しく、もうアラートなど忘れたかのようです。然し、アメリカは余裕を失い人々の心もどこかに置き忘れたようになってしまいましたね。チョット寂しいです。

まつひろ / Matsuhiro さんのコメント...

アメリカも「失われた10年」になるんじゃないか、ってボチボチ囁かれていますね。私は今の状況を見ていると10年は固いんじゃないかと思います。