Profile

自分の写真
Brighture English Academy 代表。趣味はウクレレとかハイキングとかDIYとか旅行などなど。在米20年。シリコンバレーに住みつつ、日本とアメリカとフィリピンで会社経営しています。最近は英語教育がライフワークになりつつある。

2016年11月13日日曜日

トランプ後の世界は、戦争が待っている?

ドナルド・トランプがアメリカの大統領に選ばれた。

 まさかトランプが選ばれるはずがないと思っていた人が多かっただけに、アメリカでも日本でもショックを受けている人が多い。マスコミも一般の人々も「なぜトランプが選ばれたのか?」を分析するのに大忙しだ。

 白人の逆襲? グローバル化の煽りを食っていた人たちが声をあげた? 女性への偏見? 原因はいろいろ言われているし、どれも一理ある。

僕はこう思う。

トランプ氏の当選は、「時代の要請」なのだ。




時代は「右向け右!」「俺たちは何も悪くない!あいつらが悪い。あいつらのせいだ!」とわかりやすいことを声高に叫んでくれる、強権的なリーダーを求めている。 今の時代、誰しもが不安を抱えて生きている。その原因は急激なグローバル化とITの発達にある。でも、変化があまりにも大きすぎて、考えるのが追いつかないのだ。いったい何が起きているのか、よくわからない人も沢山いるだろう。そうこうしている間に、仕事が自動化されたり、需要そのものがなくなって消えてしまったり、海外にドンドンと出ていってしまった。残った仕事はハンバーガーをひっくり返すような低賃金の仕事か、高等教育を受けたエリートにしかできない高度な技能が要求される仕事ばかりで、普通の人の仕事は減る一方なのだ。普通の人々の給与は据え置かれたまま、時間がだけが流れていく。

そんな折、 8年前に頭の良さそうな黒人男性がさっそうと登場し、”Yes, We Can!” と変化を訴えた。みんな彼に賭けてみたのだ。でも、オバマ大統領に出来たことといえば、健康保険制度の改革と、不況からの脱出くらいだった。雇用はずいぶん増えたが、まっとうな暮らしを営めるような、安定収入を得られる仕事はアメリカの真ん中あたりにはやってこなかったのだ。この辺りの事情はアメリカもイギリスも、そして日本も大して変わらない。

だから、時代はさらなる変化を求めている。 そこで起きたのがイギリスのEU脱退や、フィリピンのドゥテルテ大統領選出や、トランプ大統領の選出なのだ。来年のフランスの大統領選でも、移民排斥を主張する極右のルペンに成る公算が高い。

次はなんだろう?

中国の習近平主席、フィリピンのドゥテルテ大統領、ロシアのプーチン大統領、トルコのエルドアン大統領、ハンガリーのビクトル首相、インドのモディ首相、北朝鮮の金正恩総書記、そして日本の安倍首相……そしてトランプが加わった。いつの間にずいぶん沢山の強権的なリーダーたちが誕生している。さらに増えていってもまったく不思議ではない。’

 かつて、同じようなことが世界大恐慌の後に起きた。経済が後退し、人々は強権的なリーダーと、わかりやすいスケープゴートを求めた。アメリカでは黄禍論が唱えられ、ドイツではユダヤ人が標的となった。各国で民族の自決が叫ばれた。やがて第2次世界大戦が始まったのだ。

 もしかしたら、2007年に端を発したリーマンショックが、同じような状況を作り出したのかもしれない。イギリスやフランスの移民排斥、日本の嫌韓、アメリカのメキシコ人やモスリムへのバッシングや移民の排斥。イギリスのことはイギリス人が決める。そうやって決まったEU脱退は、民族自決そのものだ。そして世界各地で出現する強権的なリーダー。この先に待っているのはいったいなんだろうか?

アメリカが内側を向くと..

トランプの大統領就任後、世界はいったいどちらに振れていくのだろうか? 数ヶ月前にフィリピンのドゥテルテ大統領がアメリカに暴言を吐いて中国にすり寄ったが、驚いたことにオバマはこれに無関心を決め込んでしまった。

 ではトランプが率いるアメリカがさらに内向きなったらどうなるのだろうか? 今はアメリカになびいているアジアの国々が、中国への恭順の姿勢を示すかもしれない。そうしたら、中国もさらに大胆な行動をとるようになるだろう。自衛隊と中国軍の間で、交戦が起きたとしてもまったくおかしくない。すると日本の世論だって、急激に核武装容認に走るかもしれないのだ。

 あるいはヨーロッパはどうだろうか?  米軍がNATOへの関与を大幅に減らしたら、ロシアはどう出るだろうか?   アメリカは中東にどう関わっていくのだろうか? こう考えると火種はいくつもある。これらのどれか、あるいは全てが大規模戦争に発展しても不思議ではないだろう。

言論はどうなるだろう?

 かつて911の頃、アメリカは一度大きく右に揺れた。そして、そして愛国法なるものが制定され、メールの盗み読みや、電話の盗聴なのがまるで当然のように行われた。カリフォルニアのオークランドでは、初老の男性が与太話でブッシュのことを「ケツの穴」と侮蔑したところ、後日FBI から事情徴収を受けた、というまったく笑えない話がある。

 つまり、実際にきな臭くなれば、言論の自由などあっという間になくなる。真剣に国を憂う知識人がみんな投獄される、といったことだってアメリカでも十分に起こりうるのだ。強い流れがある方向にできてしまうと、これを止めるのは非常に難しいのだ。

足元を見る

こうした事態を防ぐために僕たちがしなければならないこと、それはおそらく「簡単な解決方法を求めない」というあたりにある。現実と折り合いをつけながら、具体的な解決方法を考えていくしかないのだ。グローバル化はもう嫌だと、内にこもっても別に何も解決しない。メキシコ人が悪い、移民が悪い、モスリムは出て行けと悪者探しをしても、憂さ晴らしにはなっても根本解決にはならないのだ。

 格安スマートフォンが100ドルちょっとで買えるのはグローバル化のお陰なのだし、日本が海外から安定して食料やエネルギーを輸入できるのだって同じことだ。スマートフォンを国内生産して1台数千ドルで販売しても、買える人などいないやしない。それはユニクロのやギャップの服だって同じことだ。だから、グローバル化やIT化をむやみに悪者扱いするのも芸がないし、かといって何でもかんでもグローバル化とITの活用で解決できると信じ込むのも同じくらい芸がない。

 先進国の人々は、どうすれば国内の仕事を増やすことができるか、誰しもがより高度な教育を平等に受けることができるようになるにはどうすればいいのか、もっと真剣に考え、自らの手で形にしていくしかないのだ。

 万能の解決策はない。自分たちの足元をよく見て、誰かを悪者扱いするのでもなく、強権的なリーダーの出現を待つのでもなく、現実を直視し、自らの頭で考え、根気よく話し合いながら、国内に仕事や効果的な教育の場を生み出していく。僕らにやれることはそれしかないのだ。そしてそれこそが、僕らが戦争を避けるために取ることのできる、最も効果的なアクションなのではないだろうか?



「本気で英語を学ぶ人」のためだけのイングリッシュアカデミー、それがブライチャーです。「英語を本気でモノにしたい」そんなあなたの前向きな姿勢に、ブライチャーは本気でお応えします。

0 件のコメント: