先日「
グローバル人材の幻想 - 青い鳥を追いかけるまえに、ファンタジーから目を覚ませ」という実も蓋もないブログを読んで吹き出してしまいました。
そうそう。英米の有力企業の幹部の多くは、高校あたりからボーディングスクールに行って、大学/大学院は英米の超一流大学を出ています。IT業界なんてマシな方で、もっと昔から確立されている金融業なんて本当にボーディングスクール→アイビーリーグの院卒ばっかりです。
そんな中で日本で大学まで通ったごく普通の日本人がこういう連中と押し合いへし合いやりつつ上級幹部にまで成り上がれるかと言ったら99.9%無理でしょう。
でも私、これは超一流校の大学院出てないとか英語がマズいとか実力がないとかコネがないせいだとは思っていないんです。もっと根本的な問題です。
グローバル企業の上級幹部になるような連中は肉食の猛禽類なんです。日本ではまったくお目にかからないような連中です。ではどんなふうに猛禽類なのかご説明しましょう。
恐ろしく弁舌が立つ
この人達と議論をして負かせたら本当にたいしたものです。私には到底無理ですね。私、日本語で議論するとたいてい誰にもで勝ちますが、あれは日本人が議論慣れしていないからです。小学生から大学院までプレゼンだディベートだと繰り返し、揉まれ続けて社会に出てきた彼らと渡り合うのは並大抵じゃありません。更にこの連中はそういう弁舌が立つ人達の中でも特別弁舌が立つんです。普通の日本人がこいつらに弁舌で張り合うのは、竹槍でマシンガンと戦うぐらい差があります。
弱みを見せない
自らの弱みを見せ、「私もあなたも同じような悩みを持つ一人の人間ですよ」なんていうポーズ、彼らは絶対にしません。下の者の飲みにいって人間らしい一面を見せるとか…… そんなことはあり得ません。もしも彼らが人間らしい一面を見せたら、それは計算された演出であると疑った方がいいでしょう。彼らは自分たちが優秀だと自覚していますし、自負もあります。弱みなんて見せたらつけ込まれるだけです。ガードを降ろしてボンヤリしている人、誰もいません。
プレッシャーに強い
グローバル企業で中間管理職をやっていた私ですら、熱湯風呂を我慢しているような辛さでした。彼らが背負うプレッシャーたるや、私のそれとは比較にもならないでしょう。でもノイローゼで辞めた人とか、休職した人とか一人も知りません。本当にタフな連中です。
異常に働く
アップルのSr. VPと呼ばれるジョブズの側近だったような連中は朝4時、5時といった時間から働いています。そしてこっちがバケーションに出ていようが、国民の休日だろうが、子供の世話だろうとおかまいなし。メールや電話が雨あられとかかってきます。一体いつ寝ているのかと思うほどです。しかもいつもこのペースです。ここまで働く人達、日本ではもうあまりお目にかからないと思います。
右手で握手をし、左手で背中から刺す
損得勘定や社内政治に非常に敏感で、どの人と組むべきなのか、どの人と距離をおくべきなのか常に計っています。そして自分に災いが降り掛かってくると察知したら、昨日の友人だって平気で背中から刺し、蹴落とすような連中です。そんなバカな!と思うかも知れませんが、これが「ゲームのルール」なんです。ですので刺しても刺されてもお互いさまです。アメリカの大統領選の誹謗中傷合戦なども日本人の感覚だとあり得ないような気がしますが、こういう連中と仕事をすると、アメリカの大統領選に強い既視感が湧いてきます。
アドレナリン・ジャンキー
この人達、すでに大金持ちでまったく働く必要がありません。が、常に権力争いの渦中に身を置き、心身を削って戦い続けます。根っからが猛禽類なので、誰かを噛み殺していないと生きている感覚が得られないのかも知れません。アドレナリンを求めずにはいられない、アドレナリン・ジャンキーなんです。
以上がグローバル企業の上級幹部を務める猛禽類たちの生態です。
ヨーロッパ大陸は毛色がかなり異なるようですが、英米はまあどこも似たり寄ったりのようです。アメリカの政界や企業の要職に日系人/日本人があまりいないのは、英語や学歴云々以前に、あまりにも気質が異なるからのような気がします。私はあと1ランクで副社長というところまで行きましたが、そのレベルですら鷹や鷲のような獰猛な連中だらけでとてつもなく消耗しました。そして私は上記のような獣性を自分の内側に飼っていないことを悟りました。このラットレースから抜けられて良かったです。
しかし…… 何故か時々懐かしくなったりします。またいつか戻るかも。
1 件のコメント:
本気で身も蓋もない話でうけました(リンクのブログ)最後まで、「こういう風に思ってませんか?だけど、」的な感じで覆すのかとおもいきや普通にそれで終わってたからびっくりしたのと同時に笑えました。
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