東野 圭吾
文藝春秋 (2001/05)
売り上げランキング: 431
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おすすめ度の平均:
話はおもしろいが今一歩足りないどうしてもこのラストは『腹に落ちない』
究極の愛
幸せな家庭をもつ主人公平介。バスの転落事故で、突然愛する妻を失い、辛うじて娘が植物状態で生きながらえる。葬儀の日にもたらされた現実は、妻の魂が転移した小学校5年生の娘との対面だった。
主人公と妻の意識を持つ娘との奇妙な生活が始まる。娘の成長に従い、妻は娘としての人生のやり直しを実現していく。主人公は自分だけが取り残され、妻が同世代の若い男に奪われてしまうのではないかという嫉妬心をコントロールすることができなくなってしまう。母の心が子供の体内に宿った事によって形成されてしまう夫婦の溝、性欲の問題... こんなあり得ない設定なのに素直に物語に嵌められてしまう。
事故を起こしてしまったバスの運転手の家族の救いようのない苦しみや、その運転手が必死に働いて仕送りをしていた元妻とその子供の苦悩などが非常に丁寧に描かれている。また事故で亡くなった方の遺族の悲しみも痛々しいほどに描写される。こうしたディテールがこの物語の「信憑性」を大きく上げている。
そして驚くべき結末。私はこの結末が腑に落ちなかった。
切ない美しいお話でした。非常にお勧めです。
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