Profile
- 松井博
- Brighture English Academy 代表。趣味はウクレレとかハイキングとかDIYとか旅行などなど。在米20年。シリコンバレーに住みつつ、日本とアメリカとフィリピンで会社経営しています。最近は英語教育がライフワークになりつつある。
2012年9月12日水曜日
引きこもり予備軍の糞袋くんへ(Pt .3)
Pt .1 はこちら
Pt .2 はこちら
1年ぶりに日本に帰ってきた。
もう一度高校2年生をやり直しとなった。
アメリカの高校では、何も分からずにただ1年間教室に座っていただけなので、なんの不満もなかった。むしろやり直しの機会ができて嬉しかった。
帰ってきた直後に自分のその後に大きな影響を及ぼす2つの出来事があった。
ひとつは弟の病気。
オレがアメリカの行っている間に、弟が極めて稀な骨の病気にかかってしまい、手術を受けなければならないという事態が進行していたのだ。
スポーツ万能の弟は高校も体育推薦で進学。しかしこの手術は彼のスポーツ選手としての終わりを意味するのかもしれなかった。彼がスポーツを失うことは、オレが水泳を失うのとはあまりにもレベルが違った。オレはせいぜい県で2、3番だったけれども、彼は全国区で活躍してた。スポーツは彼そのもの、と言ってもいいような弟に15歳でこの運命はあまりに過酷だった。以前はオレのことで憔悴し切っていた親が、今度は弟の病気のことで憔悴し切っていた。
掛ける言葉もなかった。彼は一体どうやってこれからを生きていくんだろうか?
この出来事は静かに、しかし強烈にオレの背中を押してくれた。
しかし弟のためにしてあげたことと言えば、アメリカから買ってきた大きなビーチタオルを渡しただけだった。現実にしてあげられることなどなにもない。運命をしずかに享受する弟が可哀想でならなかった。
もうひとつは出会い。
この頃初めてあこがれの対象になるような大人に出会った。成り行きで習い始めた合気道の先生。まだ30代と若く学歴もないこの先生は、バイタリティとフットワークの軽さを生かし自分の商売を大成功させていた。副業の道場も大繁盛。この人は、今まで会ったどんな大人とも違っていた。どこかで聞いたような能書きを垂れるのではなくて、なんでも自ら実践し、アツい言葉で自分の夢を語った。その後アップルで管理職になったときに役に立った「失敗を恐れずに繰り返す」、「人の統率のしかた」、「勇気の与え方」、「オープンな雰囲気の環境作り」などはすべてこの時に学んだ。
以前は将来の目標なんてなかったけど、なんとなくおぼろげながら、英語を生かした仕事に就きたい、と思いはじめた。そのためにアメリカで大学に行こう。そう決めた。そして人生で初めて自主的に勉強を始めた。
どうせ頭が悪いので、あれこれやるのは止めにして勉強は英語だけに的を絞った。デル単の丸暗記とペーパーバックの乱読とTOEFLの問題集を繰り返しやり込む。これだけを1年半続けた。
すると不思議な事に、英語しか勉強していないのに他の教科も成績が上がったのだ。もっとも留学以前のレベルがあまりにも低かったし、底辺高校だから上がったと言っても知れているが、勉強をしているうちになんとなく脳が活性化したのではないのかと思う。
最初のうちは30分勉強するのさえ苦痛だったのに、いつの間にか3時間以上続けて勉強できるようになった。やがてすべての授業中に英語の本を読むようになった。段々と起きている時間は全部英語の勉強という感じになってきた。
塾も何も行かずにただ家で勉強を続け、高3のはじめ頃に初めてTOEFLを受験してみた。
430点。
アメリカの大学に進学したかったら最低500点は必要だった。
冬に2度目。
470点。
なんとなく感触が掴めてきたので渡米資金を作るためバイトを始めた。
友達が進学や就職で忙しくなった頃、取りあえず語学留学の手続きを整え、バイト代を叩いて片道切符を買い、ひっそりとアメリカに渡った。
そして渡米直後に3度目のトライ。
500点を越えた。
その9月から糞袋だったオレは大学生になった。
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引きこもり予備軍の糞袋くんたちへ
「やれば出来る」は本当だったよ。
オレみたいな糞袋でもどうにかなったから、多分君も大丈夫。
自分のダメなところに正直に向き合おう。辛辣な批判を正面から受け止めよう。多分それが糞袋卒業の第一歩。
友達への見栄とか親がうるさいとか関係ないんだ。
生きていくのは君自身なんだからさ。
そんなこと言っているうちは君は君自身から逃げている。
逃げない。誤摩化さない。言い訳を探さない。
大丈夫。きっと出来る。
まだ見たこともない世界が、君を待っているよ。
終
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3 件のコメント:
逃げない。誤摩化さない。言い訳を探さない。
涙出ました。
同じ日本人だからかもしれませんが、ジョブズのスピーチより感動しました。
気合入りました。
おまえには無理だなんだっていう大人。
そうは言わないまでも冷たく頑張れよとしかいってくれない大人。
いろんな大人がいるけどこういう実体験を持ってる人がもっとたくさん声をあげてくれる世の中になればいいなと思いました。もちろんそういう大人はマイノリティであるからどの言葉を選んで聞くかという力も夢を追う人には必要なのかなと思いました。
ぼくも夢に向かって頑張ります。このブログが僕の背中を押してくれたことを感謝します。
自分の中学時代英語が出来ないで現実逃避してた事、大学出て、自分の現実を確かめたくなくて就職しないで逃げてた何年間を、思い出して泣きそうになりました。
言い訳は沢山ありました、あの頃の気持ちを思い出しました。
このブログを読めて良かったです。ありがとうございました。
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